コロナ禍ではコロナ失業と呼ばれる職を失う人たちが続出し、収入が大きく減っている業種もあります。
一般的な考え方では、コロナ不況とも言える状況ですが株価はバブル後の最高値を更新するなど、投資関係ではリーマンショックじと違い各種相場の暴落は発生していません。
不動産にしても同様であり、不動産相場や個人の居住用物件の賃料相場は下落していないと言われています。
なぜ不況感のある状況でも不動産は根強いのか、そして今後はどうなっていくのかを予測してみましょう。
1.最近の賃料動向は
まず最新の東京都内の居住用不動産の賃料相場を見てみましょう。
不動産売買価格は上昇傾向にあります。
不動産の流通を担うレインズのデータのデータでは、中古マンション売買相場は首都圏に範囲を広げると3,739万円(2020年12月)であり、この数字は2019年12月比で4.8パーセントコロナ禍前より上昇しています。
また東京カンテイの調査データでは、分譲マンション賃料も1平方メートルあたり3,081円と2020年は初めて3,000円を超えています。
一方でオフィス賃料は下落傾向にあるなど、実需要の高い居住用不動産とテレワークの普及により不要となってきている大型オフィスで明暗がくっきりしています。
2.東京の人口動態は
不動産の需要に大きく関係するのが人口です。
東京都の人口は2020年12月時点で約1,396万人となっており、前年同月比でほぼ横ばいの数字です。
コロナ禍ではずっと転入超過が続いていた東京都も、人口の流出が発生し、現在の状態が続くと2021年は久しぶりの前年比割れとなる見込みが立っています。
ただし、その内訳を見ると海外から東京にビジネスなどで来ていた外国人労働者中心であり、日本人の人口は目立った減少を見せていません。
人口流入の傾向は収まっても、東京の人口が大きく減少するといった事態にはなっていないのです。
それだけに賃貸需要はまだまだ高いものがあり、賃料相場の底が固いのも自然な流れと言えるでしょう。
3.脱賃貸で勝ち組と負け組が生まれる?
一方で、コロ中ではテレワークやオンライン授業が増加しているのも事実です。
毎日会社や大学に通う必要がなくなり、人々は都心への通勤通学の便が良い小さな住居よりも、仕事部屋などを持てる広々とした自宅を求める流れも生まれてくるのが必然です。
今後は脱賃貸に流れが生まれ、住宅ローンを組める人間は自宅を、組めない属性の人間は賃貸に住み続けるという勝ち組、負け組が生まれてくる可能性があります。
仕事部屋を確保するため、広めのワンルームより1Kや2Kなど個別の部屋は小さくても部屋数が多い物件が、単身者向けでも必要とされる日がやってくるかもしれません。
新型コロナウイルスが収束しても、一度変わった働き方は急には戻らないもの。
新時代のスタンダードに合わせた賃貸物件を確保できるかどうかが今後の家賃相場の変動に影響してくることでしょう。